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1.最近の医療従事者は「やわ」
2.告知不感症
3.食道がんについて調べる
4.頭頸科は食道切除を推奨
5.消化器外科は3案を提示
6.治療法を選ぶのはたいへん
7.主治医の意見を聞く
8.入院日に放射線治療案が浮上
9.人生の賭け
10.やっと治療法が確定
…この項終わり…
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1.最近の医療従事者は「やわ」
2回めの化学療法で入院した2日後の1月19日。癌研病院で以前から予定されていた内視鏡検査、そのあとに頭頸科の診察が行われた。この日は点滴を一時中断して、癌研病院にむかう。
Tはあいかわらず内視鏡検査とは相性が悪い。「力を抜いてっ」といわれてTは一生懸命それにこたえようとしているのに、気がついたら拳を握りしめていたり。ファイバースコープが胃に到達すると、胃が猛反発、ゲフッと収縮運動が起こる。検査が終わったときには、疲労困憊、ふだんの元気はどこへやら。
くわえて次の診察時間までの待ち時間が1時間以上もある。この「待つ」という行為がボディブローのようにじわじわ効いてきて、Tは、診察のときにはぐったりしていた。
D医師による診察。
リンパ節に転移したがんに変化はありません。ただ、さっきの内視鏡検査で食道にがんらしきものが発見されたため、組織をとって生検にまわしたんですが、検査担当者からうまくとれなかった可能性があるといってきました。生検の結果は1週間ででるので、その結果次第では、もしかしたらもう一度内視鏡検査をやっていただくことになるかもしれません。
二人ともがっくり。なにががっくりって、喉頭がんについて調べるのだけでもたいへんなのに、さらに食道がんについても調べなくっちゃいけないのか、と、私。もう一度、内視鏡を飲まなきゃいけないのか、と、T。
「だいたいさ、今の医療従事者ってやわだよな。たしかにさっきの検査ではけっこうゲーゲーしちゃったけれど、自分の意志に反して勝手に胃がそうなっているんだから、気にしないでぐいぐいとればいいんだ。検査担当者は、ビビるな、ひるむな!」
Tは、大嫌いな内視鏡検査を、検査担当者の意気地のなさで二度もやらされる、ということに腹を立てた(ただし、食道のような筒状のところの組織をとるのは、度胸があってもむずかしいらしい)。
避けて通れないことなら、それが痛かろうが苦しかろうが、さっさとすませてしまいたい、という気持ちが強いT。患者が「とっととやってくれ」というのに、医療従事者がぐずぐずしているのを見るのは腹立たしいようだ。
近頃、看護婦さんや医師は注射をする前に「ちくっとしますよ」「痛いですよ」「すこしがまんしてくださいね」「すいません」などと必ずいう。一見、患者側に立っているように見えるが、Tはこれが気にくわない。
「注射が痛いのはあたりまえだ。しかもこのくらいの痛みなんか痛いうちに入らない。いちいちこんな事をいうのは、いろいろな事故や訴訟の積み重ねで、患者に苦痛を与えないように極力努力するという風潮になってしまったんだろうか」
たしかに、あの一言は、患者にとって強烈なプレッシャーになるんだよな。「痛いですよ」といわれると、実際に針を刺されるまでの時間がものすごく長く感じてしまう。アルコール綿で拭かれてスースーしている皮膚に神経が集中してしまって、どきどきする。
で、どんなに痛い注射なのかと思ったらたいしたことがなくて、ほっとはするけれど、と同時に、無用なプレッシャーをかけられたことに「あのどきどきはなんだったんだ」と腹が立ってしまうのだ。よけいなことをいわず、「注射をします」とだけいって、あとはだまってプスッと針を刺してくれればいいのに。
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