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1.DNAを壊す放射線
2.Tの照射計画
3.照射スタート
4.照射期間中の診察
5.中間所見
6.薬で痛みをコントロール
7.ノドの痛みにアイスボール
8.医師との会話を楽しむ
9.痛み以外の副作用その1
10.痛み以外の副作用その2
11.残り10回
12.照射終了
13.がんは制御できたのか
…この項終わり…
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1.DNAを壊す放射線
Tの放射線治療は、放射線治療科の管理の下で週5回のペースで行われる。放射線治療科ではJ医師がおもに面倒を見てくれることになった。
J医師はポンポンッとしゃべる、威勢のいい女性である。
「だいじょうぶ。食道のがんはこれで治るでしょう。だいしょうぶ、だいじょうぶ」
そんなに簡単に「治る」なんていってしまっていいものかと、すこし不安になる。だって、がん治療に100%治癒はない、と覚悟していても医者から「治る」といわれれば、つい期待してしまうではないか。放射線治療の結果、効果がありませんでした、ということになれば、期待した分、落ちこみも激しいだろう。Tはすっかりその気になっているようだし。
心配だなあ。
それでも、J医師は喉頭のほうについては一言もいわなかった。うーん、喉頭がんのほうは治らない可能性も大いにあるってことなのかな。いわれなければないで心配。ま、結局のところ、家族はなんでも心配。
放射線治療は、化学療法と同じく、健康な細胞とがん細胞の放射線に対する感受性の差を利用した治療法だ。放射線でDNAを壊し、その細胞が分裂すると死ぬようにする。放射線を大量にあびれば一発死もあるが、少ないと壊れた細胞は復活する。加減がむずかしそう。
照射はリニアック(ライナックとよんでいるところもある)とよばれる線形加速器によって行われる。この機械は、高エネルギーのX線を得ることができ照射精度も高いので、国内では主流機械らしい。
CTの画像などから、その患者にあった照射範囲や照射量などが計算されて、治療計画がなされる。これは「一定量の放射線を確実に腫瘍部に届けるには、どう照射すればよいか」という逆算的な考え方で計算されるので、患者の臓器の大きさや位置などを考慮し、照射時間、照射角度などを細かく決める必要があるのだ。位置でプラスマイナス3o、線量でプラスマイナス3%の精度が求められるという。
計画はたいへんな作業だが、計画ができてしまえば、あとは実行するだけ。照射期間中、放射線治療科の医師は、もちろん患部と患者のようすを観察しているが、たとえ途中で治療効果が認められたとしても計画は最後まで実行される。
始めたらやめられない。やめたり、間をおいたりすると治療効果が薄れてしまうのだ。放射線治療はジェットコースターのようなものだった。副作用という「恐怖感」があるのもそっくり。
だから、放射線治療科の医師は治療を始めるまでが勝負で、治療がスタートしたあとの仕事は「患者のはげまし」に終始するといっても過言ではない。とにかく最後までやり通させることが最大課題。
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