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1.疑わしきは罰せず
2.思わぬうつ病
3.生検にだすためにブツをとる
4.イレギュラー発覚
5.全摘宣言の日
6.封じ手をあける
7.覚悟を決めるまで その1
8.覚悟を決めるまで その2
9.手術予定日を決める
10.手術でおこりうる問題
11.内科医は話し方がうまい
12.外来終了
13.入院の日
14.永久気管孔という穴
15.手術
16.あちらの世界にいったT その1
17.あちらの世界にいったT その2
18.下痢と微熱と貧血と
19.とつぜんの狭心症発作
20.失神発作
21.手ごわい嚥下の練習
…この項終わり…
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9.手術予定日を決める
7月5日。MRI検査と頭頸科診察の日。
病院にむかう途中で、Tが検査の確認する。
「7月7日はなんだ」
「肺のCTと放射線治療科の診察」
「12日はなんだ」
「肺機能セットと外来エコー(超音波検査)」
「肺機能セット……もう入院なのか」
「うん。でも看護婦さんが、予約待ちの3番めだからどうなるかわからないけれど、12日には入院していて検査になるかもしれないっていってたよね」
「いってた?」
「いってた」
「そうか。もうのんびりしていられないんだな。会社にいわなきゃならないんだ」
MRI検査のあとに頭頸科の診察。検査の結果はすでに頭頸科に届けられていて、Tの写真がシャーカステンにかかっている。D医師と、Tと私は鼻がつきそうになるくらい近くで写真を見る。
「この白いのががんです。最初にきたときはこれ。すこし小さくなってなっていますが」
がんといわれた部分は、白くぼんやりとした小さな丸い点だった。これがほんとにがんなのか? わかるのか、そんなことが。と、一瞬でも思った私はばかである。わかるんだよ。
D医師による手術の説明。2月に一度説明を受けているが、そのおさらいといった感じ。Tが質問する。
「手術後、鼻はなんの役割を果たすんですか?」
「…………」
「ただついているだけてですか」
「においがわかるっていう人もいますけれど」
D医師は、答えになっていない言葉でその場を濁した。
Tが、手術日について相談する。
「2か月先というわけにはいかないですか」
「それはちょっと……無理ですね。検査のデータも古くなってしまいますし。当院では、初診からだいたい3週間ぐらいで手術です」
「では、今月末から来月頭に手術、というのは?」
「そうですね。ここでは似たような手術を1日2件、行うことになっているんですが……」
D医師は中座して、手術予定を確認しにいったようだった。もどってきて、いう。
「手術でとる、という希望でしたよね」
この期に及んでまた翻ったかと思うD医師に、Tは一言だけ言う。
「いまプロジェクトを抱えているんですが、あともうすこしで一段落つくんです」
Tが放射線治療中に話が始まったプロジェクトがあり、Tは退院と同時にそのプロジェクトの中心の一人となって動いていた。だから入院まで2か月あれば、若手をつれてクライアントへの挨拶と若手の顔つなぎが完了できると考えていた。
頭頸科の手術日は火曜と木曜である。そこでTはすこしでも遅くと、7月最終火曜日の25日に手術することを希望し、手術日を伸ばしたくないD医師が妥協し、だいたいそのあたりを目標とすることになった。ただし、ベッドがあかず入院が遅れれば、手術日もずれていく。
「顔つなぎをしてやりたかったけれど、それもできなくなっちゃった」
残念そうなTだった。
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