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1.疑わしきは罰せず
2.思わぬうつ病
3.生検にだすためにブツをとる
4.イレギュラー発覚
5.全摘宣言の日
6.封じ手をあける
7.覚悟を決めるまで その1
8.覚悟を決めるまで その2
9.手術予定日を決める
10.手術でおこりうる問題
11.内科医は話し方がうまい
12.外来終了
13.入院の日
14.永久気管孔という穴
15.手術
16.あちらの世界にいったT その1
17.あちらの世界にいったT その2
18.下痢と微熱と貧血と
19.とつぜんの狭心症発作
20.失神発作
21.手ごわい嚥下の練習
…この項終わり…
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19.とつぜんの狭心症発作
その日、「おっはよう」と病室のドアをあけてびっくり。Tは胸に電極をつけて、そのコードの先は心電図の端末につながっているではないか。
「どうしたの」
思わずベッドにかけよる。
「午前3時ごろ、心臓がかなとこでしめつけられる感じがした」
こっちは、心臓が口からとびでそうになるくらい驚いたよ。
明け方、ナースコールをしてひと騒動だったらしい。ニトログリセリンのシール状の薬を胸にぺたっと貼って、とりあえず症状はおさまったとのこと。循環器の医師にカルテを回したから、この件に関してはその医師の判断にゆだねることになった。
内科の外来に呼ばれたのは夕方6時前だった。1階の、いまはがらんとしている内科の外来に行く。先客がいたようで、2人で中廊下でしばらく待っていた。Tはだいぶいらいらしていたようだったので首をもむ。がちんごちんの首をもむと落ち着くようだ。意外と待たされた。「ひとりじゃ待てなかった」とTはいった。
内科外来の医師の診察。Tは着実に癌研病院の外来を制覇しつつある。あはは。
今のところ、心電図には異常がありません。夜明け前に、胸が締めつけられる感じというのは、典型的な狭心症発作です。狭心症は血管が収縮することによって起こるもので、血管が狭くなっていたり、動脈硬化の人におきやすいんですよね。けれども、Tさんの場合はその条件にあてはまらない。そういうのを異型狭心症といいます。いままで痛くなったのは、夜だけでしたか?
「昼に一度あった」
「昼に……うーん。そのとき看護婦さんにいいましたか?」
「いいえ」
「今度起こったら、看護婦さんにいってくださいね。そのときの(心電図の)波形が知りたいので」
内科医は苦笑混じりにいった。心臓疾患は、発作が起きたときの心電図の波形で病名を確定する。しかし、発作は数秒でおさまるので、その波形をとるのは難しい。
それから内科医は、Tの胸につけてあるシールを指していった。
「これは、長時間一定量のニトログリセリンが体の中に取り入れられるようになっている薬です。これが治療の第1選択。頭頸科がやってくれたので、私の出番はありません」
そういって、にっこり笑った。
その後、この薬はばっちり効いて、その後狭心症の発作は起きてはいない。ただし、この薬(ニトロパッチという)には、かなり長い間お世話になった。
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