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1.疑わしきは罰せず
2.思わぬうつ病
3.生検にだすためにブツをとる
4.イレギュラー発覚
5.全摘宣言の日
6.封じ手をあける
7.覚悟を決めるまで その1
8.覚悟を決めるまで その2
9.手術予定日を決める
10.手術でおこりうる問題
11.内科医は話し方がうまい
12.外来終了
13.入院の日
14.永久気管孔という穴
15.手術
16.あちらの世界にいったT その1
17.あちらの世界にいったT その2
18.下痢と微熱と貧血と
19.とつぜんの狭心症発作
20.失神発作
21.手ごわい嚥下の練習
…この項終わり…
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13.入院の日
7月21日午前、入院。今回は希望していた個室に入れた。Tは、まわりの患者さんに気兼ねしなくてすむと喜んだ。
今回は主治医としてD医師のほかにN医師とO医師がついてくれた。入院中は、この3人の医師が交代で面倒を見てくれるようだ。
午後、前回の手術のときに不整脈があったということで、内科に行って心電図をとって今回の手術にたえられるかどうかを確認した。不整脈があった、なんて話は聞いていなかったから驚いた。それでも医者も家族に言い忘れるくらいだから、たいしたことはなかったのだろう、と思うことにして、前回不整脈について知らされなかったことについては不問に付す。結局、簡単な問診の末、「手術は大丈夫」とお墨付きをもらった。
夕方、D医師による手術のブリーフィング最終回(ブリーフィングとは、空軍パイロットが飛行直前に司令部から与えられる指示・作戦のこと。その指示通りに行動したパイロットの帰還報告をディブリーフィングという。Tは、医師による手術前の説明と手術後の報告に、この二つの言葉をあてがった)。今回のテーマは「手術後の展開」。
入院日がすこし遅れたので、手術は27日になります。25日ぐらいから腸の前処置として、腸の中をきれいにするために食事が流動食になります。手術時間はふつうなら8〜10時間ですが、今回は放射線治療後ということで12時間くらいをみています。とくに首の左側は、前回の手術でリンパ節をとるときにまわりの筋肉などもいっしょにとっていて、皮の下はいきなり頸動脈ですからね。皮をもちあげるにも丁寧にやりますので時間がかかります。
手術後おきあがれるようになるのは3、4日たってからですね。首の両側と腹の手術でドレーンの数も多くなりますから、ドレーンが抜けるまでは物理的にも起きあがるのは無理でしょう。
ノドに移植した空腸がうまくついたかどうかは、1週間ようすをみます。唾液などによって穴があいたりすることもありますが、だいたい穴があくのは3%です。問題がなければ鼻から栄養をいれて、さらに問題がなければ口から食事をとれるようになります。とにかく風邪なんかひかないでくださいね。準備が台無しになりますからね。
入院した翌日は、Tの誕生日だった。命を守るために、Tは喉頭をとってしまうことを、声を失うということを自分から望んだのだ。厳しい選択をしたのだ。手術を受けることに後悔はない。ただただ残念、という気持ちだけだった。Tの気になることといえば、声を失ったあとのこと、とくに社会復帰ができるかどうかだった。社会が受け入れてくれるだろうか、ではない。声を失った自分が、社会に参加することにどれだけ積極的になれるかが心配なのだ。
こればっかりはやってみなくちゃわからない。しかし「逃げるわけにもいかない」。
しみじみとした誕生日だった。
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