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1.疑わしきは罰せず

2.思わぬうつ病

3.生検にだすためにブツをとる

4.イレギュラー発覚

5.全摘宣言の日

6.封じ手をあける

7.覚悟を決めるまで その1

8.覚悟を決めるまで その2

9.手術予定日を決める

10.手術でおこりうる問題

11.内科医は話し方がうまい

12.外来終了

13.入院の日

14.永久気管孔という穴

15.手術

16.あちらの世界にいったT その1

17.あちらの世界にいったT その2

18.下痢と微熱と貧血と

19.とつぜんの狭心症発作

20.失神発作

21.手ごわい嚥下の練習


 …この項終わり…


 

  12.外来終了


 7月11日。
 冷蔵庫に保管していた冷え冷えの3日分の痰を検査室にだした。

  呼吸器科の診察。痰は数日培養して菌を確定する。だからこの日、I医師には前回の診察時以上の新しいデータは手元にない。そのためかI医師は悩みに悩んだ。日にちこそ決まっていないが手術がひかえているので、あまり悠長なこともいってられない。7日のCTの写真を引っぱり出してシャーカステンにかけてながめる。Tの首のリンパ腺と脇のリンパ腺を触る。聴診器で胸の音を聞く。前回の血液検査のデータを見る。問診をする。
「以前となにか特別変わった、ということはないんですよね」
「はい」

 血液検査のデータでは異常がない。でもCTには怪しい影。腕を組んで首をひねって悩むI医師。
 悩んだ末にだした結論。

「長い間、しらずしらず肺を傷つけてきたんでしょうね」
 で、このくらいだったらふつうはあわてて治療しなくてもいいんですが、手術前ですしね。術後に肺炎などの合併症をおこさないように肺をきれいにする、という意味で薬をだします。

 菌を確定してから薬を出すといってたアレはなんだったか、と思ったけれど、態勢に影響なしということで黙っていた。

 7月12日。頭頸科でエコーとD医師の診察。
 エコーでは異常なし。D医師は院内LANを操作しながら「呼吸器科は……みてもらっていますね。薬……でてますね。じゃあとは、入院してからということにしましょう」
 この日を最後に頭頸科の外来診察はおしまい。

 7月18日。午前中、病院から入院日の連絡がきた。21日の入院が決定。午後、呼吸器科で痰検査の結果をきくために病院に行く。

「痰の量はどうですか? すこしは減りましたか」
「そういえば、そんな気もします」

 痰がでる、というのは日常茶飯事なので、Tにとっては量なんて気にならないのである。人ごとのようにいうTに、I医師、苦笑い。

 3日分の痰からは、すべてに緑膿菌が検出されていた。緑膿菌は、日常的に人の体にすんでいるけれど、体の弱っている人には強くでる、「弱みにつけ込むような菌」だという。術後肺炎の原因となる可能性のある菌だ。薬が1週間分だされた。
「今日で私の診察は終わりにしますが、退院間際にもう一度外来でここにきてください」
 こうして、手術までの外来診察はすべて終わった。

 さあ、これでつぎにここにくるときは、入院だ。




                                  

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