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1.疑わしきは罰せず

2.思わぬうつ病

3.生検にだすためにブツをとる

4.イレギュラー発覚

5.全摘宣言の日

6.封じ手をあける

7.覚悟を決めるまで その1

8.覚悟を決めるまで その2

9.手術予定日を決める

10.手術でおこりうる問題

11.内科医は話し方がうまい

12.外来終了

13.入院の日

14.永久気管孔という穴

15.手術

16.あちらの世界にいったT その1

17.あちらの世界にいったT その2

18.下痢と微熱と貧血と

19.とつぜんの狭心症発作

20.失神発作

21.手ごわい嚥下の練習


 …この項終わり…


 

  11.内科医は話し方がうまい


 というわけで頭頸科のむかい、消化器外科のとなりにある呼吸器科の診察をうけることになった。呼吸器科は外科と内科にわかれている。呼吸器外科は肺がんの積極的治療を担当し、内科は肺がんの化学療法や肺の感染症に関することを扱っている。

 I医師が診てくれることになった。

 癌研病院は圧倒的に外科医が多いのだが、I医師は内科医である。いままで見てきた外科医たちとはあきらかに人種が違った。あたりが柔らかすぎて、一見気が弱そうなんだけど、妙に頼れそうな不思議な印象があるI医師だった。

 I医師による肺のCTの所見。
「そうですね。左右の肺に多彩な影がありますね。今まで肺の病気をしたことはありますか?」
「いいえ」

 すると、I医師は以前にとった肺のX線写真をシャーカステンにかけて見比べた。
「そうですねえ。これだと、まあ異常なしと判断されるでしょうね。CTをとるようになったのは最近ですからね」

 それからカルテをひっくり返して読む。
「たばこ、やめられていないんですね」
 どうやら、放射線科のJ医師にいいつけたことはカルテに書かれていて、医師のあいだを回っているらしい。私としても、いちいちいいつけないですむので楽だ。わはは。

「ずっとやめろとはいいませんが、せめて手術の前後、手術後に体調が安定するまではやめませんか? 咳ができないと痰が肺にとどまってしまいます。痰は菌にとっては格好の養分なんですね。術後、肺炎になると患者さんはものすごくつらいし、治療する我々もつらいです」

 すごいな、この先生。たばこについては「やめなさい」という禁止令型と「ま、あんたの体だから」という突き放し型ばかりだと思っていたが、はじめて「妥協提案型」というのを見た。どんなにうるさくいってもたばこがやめられないやつはいるんだよね。さすが、そのへんをよくご存じで。

 Tが真顔でいう。
「禁煙します。前回の手術のときも1か月ほどやめていたんですよ」
 効果あり、だったようだ。

 今回、CTの写真だけではなんともいえないようで、痰の検査をすることになった。蓋付きのシャーレーを3個渡されて、3日分の痰をとってもってくるようにいわれる。
「肺になにか問題があったりすると、大手術の場合は非常に問題になります。とにかく、手術までに菌をなくすことを目標としましょう。薬は痰の検査で菌が確定してからだしますね」



                                  

Copyright 2001 neko , All Rights Reserved. 記述内容は当時のものです。


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