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1.疑わしきは罰せず
2.思わぬうつ病
3.生検にだすためにブツをとる
4.イレギュラー発覚
5.全摘宣言の日
6.封じ手をあける
7.覚悟を決めるまで その1
8.覚悟を決めるまで その2
9.手術予定日を決める
10.手術でおこりうる問題
11.内科医は話し方がうまい
12.外来終了
13.入院の日
14.永久気管孔という穴
15.手術
16.あちらの世界にいったT その1
17.あちらの世界にいったT その2
18.下痢と微熱と貧血と
19.とつぜんの狭心症発作
20.失神発作
21.手ごわい嚥下の練習
…この項終わり…
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1.疑わしきは罰せず
放射線治療を終えた4月いっぱいは自宅療養。ときどき温泉に行って肩の痛みをいやした。そして、5月の連休明けから職場復帰。
Tは、新しいプロジェクトを立ちあげるべく奔走しはじめた。体調は、ガン告知前と同じというわけにはいかないが、ひととおりのがん治療をこなしながら、どこにそれほどのバイタリティが残っていたか、というくらい元気である。あいかわらずゲームにも夢中で、時間を忘れて夜が明けてしまうこともしばしば。
ゴールデンウィーク中、Tは左ほほの痛みを訴えた。要町病院を退院するときにもらった薬は終わっている。癌研病院の診察予約までにはまだ間がある。ほほの痛みだし、頭頸科に行くのもどうかと思って、Tは休みあけに要町病院にいった。
E医師によると、典型的な三叉神経痛とのこと。放射線治療中にもらっていたモルヒネをふくむ痛み止めに加えて、三叉神経痛にばっちり効くという薬をもらった。ところが、この三叉神経痛にばっちり効く薬は「疼痛時使用」としてだされたものだから、せっかくの薬もTはほとんど飲まなかった。
この薬はTの「心の支え」となる。Tは、この薬があるというだけでなんとなく安心して、あまり痛みも感じない、といった。飲まずに効く薬をはじめて見たよ。
そうこうしているうちに、5月12日、癌研病院頭頸科と放射線治療科の診察。この日は頭頸科が先。ここではCTをとって、その結果を見ながらの診察となった。
ファイバースコープでノドを見ると、やけどのあとはほとんどきれいになっています。声もでるようになりましたね。CTでは疑わしいのもあるんですが、まだ顎の下もだいぶ腫れているのでなんともいえません。
Tが左頬をさして、めずらしく自分でいった。
「このへんが痛くて要町病院にいったんですが、三叉神経痛だといわれました」
D医師は、もう一度CTを確認してからいった。
「そうですね。三叉神経痛の痛みは対処療法しかないので、痛みに関しては専門のE先生にまかせましょう」
次回は1か月後の6月23日に予約が入った。
次の放射線治療科では、J医師が頭頸科のカルテをのぞいていった。
「D先生は、疑わしきは罰せず、で、もうすこしようすをみることにしたようですね。まあ、放射線治療科にももうすこしつきあってね」と、同じ日に診察予約が入れられた。
すぐに悪い結果にならなくてよかった。Tも私も、とにかく次の診察が1か月あいた、ということがとても嬉しく思えた。「経過観察」体制に入ったんだ、と手放しに喜んでいた。「疑わしいものもあるんですが」というD医師の言葉も「1か月放っておけるならたいしたことはないのだろう」と、勝手に思った。これが、頭頸科の放射線治療の評価なんだと思っていた。
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