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今夜の番組チェック


1.事の始まり

2.病院に行かせるための攻防戦

3.検査、検査、また検査

4.いきなりの病名告知

5.「生きてて当然」

6.癌研病院について調べる

7.癌研病院、初日

8.「進行がん」というおまけ

9.愚問第1号

10.がんについて調べはじめる

11.「知らなくていい」という権利

12.医者に患者の行く末はわからない


…この項おわり…


 

1.事の始まり


1999年11月21日、日曜日。昼近く。
  私はTよりも先に起き、パソコンにむかっていた。しばらくするともぞもぞとTが起きてきたので「おはよう」と声をかけたが、Tは返事もせずにそのまま洗面所に直行。いつもは声をかけてくるのに珍しいなと思いつつも、別に気にもとめずに、そのままパソコンにむかっていると、
「おお、首が腫れちゃったぞ、おい」
と、背中でややでかい声がした。

 腫れた?

 そのとき私の頭には、虫歯で頬が腫れる、その程度のふくらみが浮かんだ。「なにを大げさな声をだしてるんだ」そう思って、うしろを振りかえると、
「わっ」
 思わず声をあげる……こ、こぶとりじいさん。

 Tはもともと太い首だったが、その左側がみごとに膨らんで、顎とつながっている。膨らみの頂点が顎のあたりに位置しているので、たぷたぷした頬とつながっているように見えて、ちょっとしたこぶのようだった。

「起きたら首がちくっと痛いので、寝違えたかと思って鏡を見たらさ」

 こんなに腫れたのは初めてだったらしく、好奇心の塊であるTはちょっぴり嬉しそう。
 嬉しそうにいってる場合じゃなーい!

 あわててTのそばに行き、腫れた首をそっとさわる。耳の下の顎のあたりが腫れの中心のようだ。その部分は熱を持っている。リンパ腺が腫れたのかなあ。それとも話だけで見たことはないけれど、これが流行性耳下腺炎ってやつなのかなあ?
「痛い?」
「いや」
「おたふくかぜって、もうやった?」
「わからん」
「覚えていないの?」
「子どもの頃にやったかもしれないけど、わからないよ」

 額に手をあててみる。熱はなさそうだ。熱がでない流行性耳下腺炎なんてあるのかなあ。やっぱりリンパ腺が腫れているのか。でも、リンパ腺がはれるときって、近くに細菌が入りこんできたり、炎症があったときだと思うんだけれど、Tには「らしい」傷もないし、第一、そういうときの腫れは、グリグリができる程度じゃないのかな。

 わからん。

 本人は痛みがないからけろっとしている。たいしたことないのか、あるのかがさっぱりわからん。しかも、今日は日曜日。病院は休み。

 こういうときには、事典類をみる。わが家にある家庭医学書で、「腫れ・しこりがある」のページを見ると「耳の下から頬や首にかけて腫れる」のは、耳下腺炎が考えられるらしい。でも、熱がないからなあ。

 しばらく読みすすめると、同じページには「原因不明のしこりや腫れがあったとき(特に首やわきの下などのリンパ節の腫れ)は、がんの可能性もある」と書いてあった。

 げっ。
 明日は、絶対医者に行ってもらわなきゃ。


                       


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