|

1.抗がん剤の特徴
2.第1回化学療法
3.肥えるがん患者
4.1クール終了
5.要町病院には耳鼻科がない
6.第2クールはシスプラチン
7.単調な日々に飽きる
…この項おわり…
|
1.抗がん剤の特徴
TはD医師から「まず抗がん剤をためしてみて、それから手術か放射線治療をするか考えましょう」といわれた。
で、抗がん剤治療について調べてみる。
手術前に抗がん剤を使うということは、がん細胞をたたいてすこしでも小さくしておけば、手術のときに同じ体積を切除しても、がん細胞が小さいほうが安全域が広くなるからのようだ。がん細胞をとりこぼさないように患部を大きく切除するのががん手術の基本の考え方だが、患部ぎりぎりを切除するととりこぼしたり、がん細胞を傷つけたりしてしまえば、せっかく手術しても再発につながる可能性が高くなってしまう。マージン(余白・余地)は広くあったほうが安心らしい。
抗がん剤は、がん細胞の分裂を止めようとする薬だった。がん細胞は健康な細胞に比べて分裂のスピードが圧倒的に速い。抗がん剤は、活発に分裂している細胞だけに作用するようにできていて、その活発な活動を止めてしまおう、という薬なのだった。まだ、がん細胞だけを狙いうつことはできない。
抗がん剤は点滴によって行われる。薬は血液の循環にのって体中をかけめぐるため、がん細胞だろうが健康な細胞だろうが、薬は活発に分裂している細胞ならなんにでも反応してしまう。だから正常細胞のなかでも、とくに細胞分裂が活発に行われている部分である胃や頭髪、生殖機能にも影響がでてしまう。これがいわゆる副作用で、吐き気や脱毛という症状にあらわれる。
なるほどねえ。そういう薬なら、副作用はしかたないわな。
それにしても、理にかなった副作用で、ちょっと感心したりして。
ただ、副作用がでてしまうものの、原発巣だけをねらい打つわけではなく全身に影響を及ぼすものだから、存在が確認できていない小さながん細胞があったとしたら、それにも効果は期待できるという利点もある。
抗がん剤投与のスケジュールは、1週間から10日を1クールとし、1クールが終わると「休薬」といって、薬物をいっさいやめて体を休める期間を設ける。休薬期間は2、3週間。人によってさまざまだが、Tは抗がん剤の治療を2クール行うことになった。
抗がん剤もいろいろあるけれど、今回予定されているのはシスプラチンとフルオロウラシル(5FU)。両方とも広く一般的に使われている薬だ。シスプラチンは1日、5FUは4日の投与。
シスプラチンはたった1日120mgだけなのに、3週間の休薬期間を設けなければいけないなんて、そうとう強いぞ。
Tは「ゲーム三昧だ」とのんきに喜んでいるが、だいじょうぶなのか?
|